人形の得手不得手

棒遣い人形の作り方の説明は、

取り合えず一通り解説し終えたので、

人形劇で遣う人形の適性・得手不得手について

少し書いてみようと思います。

人形劇で遣ういわゆる劇人形には、

唯の平面であるペープサート

指人形

手遣い人形

棒遣い人形

糸操り人形

などがあります。

 

それぞれに操作方法に由来する利点となる特徴があり、

それ故に苦手な表現(演技)というものもあります。

人形劇を始めようとしてこのページに辿り着いた方、

よりよい舞台・人形劇を目指してこのページにやって来てしまった方には、

この人形の種類による特性を知って演目作りに役立ててみて下さい。

ざっくりと云います。

 

動く所が多い人形ほど感情表現が得意ですが、逆にアクションは苦手です。

 

意外と思う人も多いでしょうが事実です。

具体的に説明出来るようゴンちゃん劇場で遣う人形を基に説明しましょう。

 

ゴンちゃん劇場で作られた人形でもっとも多く作られたのは棒遣い人形です。

NHKのTV人形劇でもおなじみの胴串があって差し金で手を動かすヤツです。

首が横に振れて、頷く事が出来ますし、指差しも出来ますから

簡単な意思表示なら誰でも演じさせられます。

だけでなく、人間に共通の大袈裟なボディランゲージ

例えば、「頭を抱える」「のけぞる」であるとか

もっと細かい仕草の「十字を切る」「敬礼」「頭を掻く」なども容易に表現出来ます。

棒遣い人形ならば初心者でもおよそ観客に何をしているのかを

ある程度判る演技として観せる事が出来るのです。

 

ところが、ちょっと小難しい話ですが力のモーメントの働きで棒は回転し、

更に慣性モーメントによって動き出しと停止が遅れます。

つまり、握っている棒の先に存在している人形(の頭や手)は、

操演者の手から遠ければ遠いほど遣い手の思う挙動よりズレ、遅れます。

簡単に云うと「ビシッ!」と決めにくいのです。

そして、握っている場所が支点であり力点になるので

意外と操演者に負荷がかかります。

 

で、ドタバタコメディの多いゴンちゃん劇場の芝居で

もっとも多用されているのが手遣い人形です。

手遣い人形と云うのは、手袋のように手にはめて動かす人形です。

動かした手の動きが直接人形の動きになります。

「手」そのものが人形とも云えます。

感覚がダイレクトなので派手に動かしても

人形の状況・状態の把握が容易でなのも利点です。

しかし、手遣い人形は指が手であり頭なので、細かい仕草が出来ません。

また、手にはめる人形なので、必然的に大きさが決まってきます。

ゴンちゃん劇場ではこのような特性に基づいて、

芝居に合わせて棒遣いと手遣いの人形を使い分けています。

「ねずみのお経」という昔話は動きは多くないかわりに

コミカルな掛け合いが面白い会話劇なので棒遣い人形で上演しました。

「でてくてぶ」というお話は、どこか抜けてる探偵コンビが

色々な動物を追いかけて捕まえるお話なので手遣い人形を使っています。

 

また、同じ劇の中でもキャラクターの特徴によって使い分けたります。

例えば、「うしかたとやまんば」では、うしかたを手遣いにし、

やまんばはうしかたより大きな存在として棒遣いにしました。

「大工と鬼六」では、もっと極端に手遣いの大工と面を被った役者の鬼六が

川に見立てたケコミから上半身だけ出す演出でした。

コメントをお書きください

コメント: 3
  • #1

    保母ロビオ (日曜日, 14 6月 2015 22:34)

    私は、自閉症と言う障害を持っています。
    私は、人形劇が好きです。

  • #2

    保母ロビオ (日曜日, 14 6月 2015 22:37)

    私は、人形劇で、美少女戦士セーラームーンSsをやりたいんですが、舞台の作り方が解りません

  • #3

    翔遙社 橋本 (月曜日, 15 6月 2015 14:19)

    コメントありがとうございます。

    どのような舞台を想定しているかわかりませんが、
    お家で一人で楽しむだけであれば
    お話と人形だけあれば素敵な人形劇になるでしょう。
    誰かに観てもらう舞台をお考えでしたら
    以下の準備をお考えください。

    観る人と演じる人を隔てるもの(幕や衝立)
     演じる人を隠す「ケコミ」の両側に
     人形や小道具を隠しておく「袖」という「凹」の形が
     典型的なスタイルです。
    後はお話の台本と登場する人形・小道具を用意すれば人形劇が始められます。

    「人形劇の参考に」を見返すと劇人形のことばかりで
    舞台装置や大小道具・台本についてなど
    ほとんど書いていなかったようです。
    舞台についての詳しい説明を
    近日中に記事にしようと思います。

    ありがとうございました。